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用語定義計算式見方メモ・注意点
トータルリターン (Total Return)
TR
リターン基礎
パフォーマンス・リターン
別名配当込みリターン, Total return
価格変動と分配金を合計した期間中の総合リターン。
(期末評価額 − 期首評価額 + 分配金)÷ 期首評価額
配当込みの実力を把握する指標。価格リターンとの差で分配の寄与を確認。
税・手数料を含むか明記する。配当再投資が長期リターンを左右。
年率換算リターン (Annualized Return)
CAGR
リターン基礎
パフォーマンス・リターン
別名年率換算CAGR, Compound annual growth rate
複数期間のリターンを年率換算した幾何平均。
(期末価値 ÷ 期首価値)^(1 ÷ 年数) − 1
複数年の成績を比較する際に使用。ボラティリティと併せて安定度を確認。
途中の大きな変動が見えづらい。ドローダウンやキャッシュフローも確認。
時間加重リターン (Time-Weighted Return)
TWRR
リターン基礎
パフォーマンス・リターン
別名時間加重収益率, Time-weighted rate of return
資金の出入りの影響を除いた運用成績を測る。
キャッシュフローごとに区切った期間リターンを連乗。
運用者の腕を評価するのに適する。ファンドレポートで一般的。
評価額が遅れるとずれるため、可能なら公表NAVを使用。
金額加重リターン (Money-Weighted Return)
MWRR / IRR
リターン基礎
パフォーマンス・リターン
別名金額加重収益率, Dollar-weighted return
入出金のタイミングと額を反映したリターン。
割引率rで現在価値合計が0となる内部収益率を解く。
投資家の実際の体感リターンを示す。不定期の入出金がある場合に有効。
後半の大きな入出金で大きく変わる。TWRRとの乖離でタイミング影響を把握。
ベンチマーク (Benchmark)
BM
ベンチマークとアルファ
パフォーマンス・リターン
別名参照指数, Reference index
パフォーマンスやリスクを比較するための参照ポートフォリオ。
決まった式はない。戦略のリスク特性に近い指数を選ぶ。
保有スタイルに合うかを必ず確認。合わないとアルファやトラッキングエラーが歪む。
スタイル変化や現金比率が高いと比較しづらい。ベンチ変更は記録する。
超過リターン (Excess Return)
ベンチマークとアルファ
パフォーマンス・リターン
別名超過収益, Active return
ポートフォリオのリターンからベンチマークを引いた差分。
ポートフォリオリターン − ベンチマークリターン
月次で積み上げて安定度を確認。複数年は年率換算で比較。
リスクが大きく低い場合はマイナスでも許容されることがある。
アルファ (Alpha)
α
ベンチマークとアルファ
パフォーマンス・リターン
別名ジェンセンのアルファ, Jensen's alpha
市場エクスポージャーを控除したリスク調整後の超過リターン。
α = ポートフォリオリターン − [無リスク金利 + β × (ベンチマーク − 無リスク)]
市場変動を超えてどれだけ価値を生んだかを示す。トラッキングエラーと併せて評価。
採用モデルとβ推定に左右される。不安定なβでは結果がぶれる。
情報比率 (Information Ratio)
IR
ベンチマークとアルファ
パフォーマンス・リターン
別名IR
トラッキングエラー1単位あたりの超過リターン。
情報比率 = 超過リターン ÷ トラッキングエラー
数値が高いほど安定した超過収益。似た運用方針の同業と比較する。
サンプル期間が短いとブレやすい。季節性のある運用は長期で確認。
トラッキングエラー (Tracking Error)
TE
ベンチマークとアルファ
リスク・ボラティリティ
別名アクティブリスク, Active risk
ベンチマーク超過リターンの標準偏差。
トラッキングエラー = 超過リターンの標準偏差
運用の積極度を示す。低TEはインデックスに近く、高TEは集中型に多い。
極端に低いTEはクロゼットインデックスの可能性。急上昇はスタイル変化のサイン。
標準偏差 (Standard Deviation)
σ
リスク指標
リスク・ボラティリティ
別名ボラティリティ, Volatility
平均リターンからのばらつきの大きさ。
標準偏差 = √(各期リターンと平均の差の二乗和 ÷ (期間数−1))
代表的なリスク指標。リターンとの組み合わせでリスク当たりの報酬を確認。
分布が対称という前提。裾が重い場合はストレステストも必要。
ベータ (Beta)
β
リスク指標
リスク・ボラティリティ
別名市場ベータ, Market beta
ポートフォリオリターンがベンチマークにどれだけ連動するか。
β = 共分散(ポートフォリオ, ベンチ) ÷ 分散(ベンチ)
βが1前後なら市場並み。ヘッジ量やポジション調整の目安になる。
βは時間で変化する。定期的な再推定と市場局面の確認が必要。
シャープレシオ (Sharpe Ratio)
リスク指標
リスク・ボラティリティ
別名リターン・ボラティリティ比, Reward-to-variability ratio
総ボラティリティ1単位あたりの超過リターン。
シャープ = (ポートフォリオリターン − 無リスク金利) ÷ 標準偏差
同じ資産クラス同士で比較する。レバレッジ差があるものは分ける。
正規分布前提で上振れも同等に罰する。下落リスク重視ならソルティノを使用。
ソルティノレシオ (Sortino Ratio)
リスク指標
リスク・ボラティリティ
別名下方リスク調整リターン, Downside risk-adjusted return
目標リターンを下回る部分のボラティリティ1単位あたりの超過リターン。
ソルティノ = (ポートフォリオリターン − 目標) ÷ 下方偏差
上方の振れを許容する場合に有効。目標リターン設定は現実的に。
下方偏差は目標設定に依存。無リスクかハードルかを明記する。
バリュー・アット・リスク (Value at Risk)
VaR
リスク指標
リスク・ボラティリティ
別名VaR
ある信頼水準で予想される期間内の最大損失額。
歴史法・分布前提・モンテカルロなど手法による。期間と信頼水準を明記する。
損失許容量やリスク枠設定に使う。ドローダウンやストレステストと併用。
極端リスクを捉えにくい。CVaRやシナリオ分析とセットで使用。
条件付バリュー・アット・リスク (Conditional Value at Risk)
CVaR
リスク指標
リスク・ボラティリティ
別名エクスペクテッド・ショートフォール, Expected shortfall
VaRを超える損失が発生した場合の平均損失額。
VaRで切った分布の裾部分の平均損失。
尾部損失の大きさを示す。規制ではVaRより重視されることが多い。
推定には多くのデータが必要。採用した信頼水準を明記する。
最大ドローダウン (Maximum Drawdown)
MDD
ドローダウンとボラティリティ
リスク・ボラティリティ
別名最大DD, Max drawdown
期間中の高値から安値への最大下落率。
最大ドローダウン = (最安値 − 最高値) ÷ 最高値
投資家が経験した最大の落ち込みを示す。回復期間と合わせて耐性を把握。
一期間だけでは複数の急落を見落とすことがある。ローリングで確認する。
回復期間 (Recovery Period)
ドローダウンとボラティリティ
リスク・ボラティリティ
別名回復日数, Time to recovery
ドローダウン後に直近高値を取り戻すまでの期間。
安値から前回高値まで戻る営業日・月数を計測。
回復が早いほど耐性が高い。資産保全を重視する引退世代に有用。
最大ドローダウンとセットで評価。回復が長いとキャッシュフローに悪影響。
下方偏差 (Downside Deviation)
ドローダウンとボラティリティ
リスク・ボラティリティ
別名セミディビエーション, Semi-deviation
目標利回りを下回るリターンだけを対象にしたボラティリティ。
下方偏差 = √(各期の(リターン−目標)が0未満の部分の二乗和 ÷ 期間数)
下落リスク重視の場合に活躍。ソルティノレシオの計算要素。
目標設定次第で値が変わる。ゼロか無リスクかなどを明記。
分散効果比率 (Diversification Ratio)
ポートフォリオ健全度
ポートフォリオ管理
別名分散度, Diversification benefit
ポートフォリオ全体のボラティリティを銘柄ごとの加重平均ボラで割った値。
分散効果比率 = ポートフォリオボラ ÷ Σ(比率_i × 個別ボラ_i)
1未満なら分散メリットが出ている。高い場合は集中リスクの可能性。
相関は時間で変わる。ストレス局面では再計算が必要。
相関係数 (Correlation)
ρ
ポートフォリオ健全度
ポートフォリオ管理
別名ピアソン相関, Pearson correlation
2資産の連動度を示す指標。-1から+1の範囲。
相関係数 = 共分散(A,B) ÷ (標準偏差A × 標準偏差B)
分散効果比率と併せて確認。相関上昇は分散メリット低下を示す。
危機時は相関が跳ねやすい。局面別・資産別で監視する。
ポートフォリオ回転率 (Portfolio Turnover)
ポートフォリオ健全度
ポートフォリオ管理
別名回転率, Turnover ratio
1年間で売買により入れ替わった保有割合。
回転率 = min(買付総額, 売却総額) ÷ 平均資産
回転が高いほどコスト・税負担が増えやすい。戦略サイクルと整合しているか確認。
回転率急上昇と成績悪化が重なる場合はコストが足かせの可能性。
リバランス幅 (Rebalancing Band)
ポートフォリオ健全度
ポートフォリオ管理
別名リバランス閾値, Rebalancing threshold
目標比率からどれだけ乖離したらリバランスするかの許容幅。
例:目標比率から±5%ポイントまたは±20%相対で乖離したら実施。
過剰売買を避けつつリスクプロファイルを維持。ボラが高い資産は幅を狭める。
定期型か閾値型かを明記し、期待値を合わせる。
分配利回り (Distribution Yield)
DY
インカムとコスト
インカムとコスト
別名トレーリング利回り, Trailing yield
直近1年の分配金総額を現在の価格または基準価額で割った値。
分配利回り = 過去12か月分配金合計 ÷ 現在価格
受取収益の水準を把握する指標。配当性向と併せて持続性を確認。
特別分配で一時的に高くなることがある。分配方針を確認。
取得原価ベース利回り (Yield on Cost)
YOC
インカムとコスト
インカムとコスト
別名取得原価利回り, Yield on original cost
現在の年間受取額を取得単価で割った利回り。
取得原価ベース利回り = 現行年間分配金 ÷ 取得単価
長期保有者が得た収益成長を示すが、取得価格が違う人同士では比較不可。
取得単価に固執する原因になり得る。現行利回りや業績も併せて確認。
信託報酬 (Expense Ratio)
ER
インカムとコスト
インカムとコスト
別名信託報酬率, TER
ファンドが資産残高に対して毎年差し引く運用コスト割合。
信託報酬率 = 年間ファンド費用 ÷ 平均純資産
一般的に低いほど良い。実質コストを見るためトラッキングディファレンスも確認。
信託報酬以外に売買コストや税負担がある点に注意。
配当性向 (Payout Ratio)
インカムとコスト
インカムとコスト
別名配当性向, Dividend payout
利益のうち配当として支払う割合。
配当性向 = 配当 ÷ 当期純利益
高いほど再投資余地が小さい。安定し、利益で十分賄える水準が望ましい。
極端に高いと成長を阻害し、低すぎると現金滞留の懸念。